• 銀風

     その街には見た目も声の豊かさも船大工としての腕前も、すべてを備えた男がいるのだという。そう、あの海列車を造り上げた大工たちの1人でもある。 そしてその男にも陰の中でもがいた日々があったのだという。 そういう男が相手だからこそ、少女が心も身…

  • 沐浴

     今にもまどろみはじめそうなわずかに陶酔の表情を浮かべた少女の白い身体をルッチは無言のまま瞳に映していた。彼の持つ審美眼から見れば細い身体にはまだまだ硬さが残り、身体を重ねている最中にさえふと性別を忘れる時があった。溢れそうになる声を、身体…