背中文字

「ほんと、いい男だよね、エースって。あたし、大好きで困っちまう!」 心臓がドキンと大きく鳴った。 早朝の光が眩しい中のいつものパン屋、いつもの時間。 顔馴染みの気のいい店員。「そりゃあよ、エースはすげぇもんな!まだ、俺、勝ったことねぇし」 …

Valentine’s day

 「絶対、俺から離れるな、 サクヤ」 エースの頬を流れた一筋の血が雫になってコンクリートの床に落ちた。「お前には指一本触らせねぇ。守りきれないなら兄貴やってる意味なんてねぇからな」 駄目だよ、エース。 エースが身体に受けた傷は全部、後ろのわ…

冬っぽい5つの言葉

◆◆タイトル こたつ◆◆「…こたつ?」「そうなんだよ、サクヤ!テーブルんとこに座るとよ、布団があって中がすっげぇあったけぇ~んだよ。あれはいいぜ~!だからよ、ちょっと作ってみねぇか?」「でも、ルフィ…ああ、そっか。床暖房の上にテーブルを置け…

秋宵

 夕方になると風が冷たくなってきた。 いつの間に季節が変わっていたのだろう。不思議だった。 ルフィとナミと一緒に海へ行って大騒ぎした夏。まだボディガードの役目から開放されないゾロとサンジ君も一緒だったから、予想以上の賑やかさだった。良かった…

星想

 ふぅ、今年は間に合った 戻れるかどうか途中まで結構ギリギリって感じだったんだぜ いや、もう、むっちゃくちゃ駆けづり回った 悪い、まずちょっと寝させてくれ 起きたら何でもするからな 今年は料理人がいてくれていいなぁ 力自慢の荷物持ちもいてく…

rainy day

 雨が降り続いていた。 最初の日は珍しさに喜んで外ではしゃぎ回っていたこいつらも、今日はおとなしい。 サクヤはいい。 元々、本さえ読んでればしあわせそうにしてる。 雨の中で蛙とりをしてたのは、実はルフィにつきあってやってたんだよな。 ま、水…

憧憬

 一緒に大きなスクリーンの映画を観て 大好きなカフェでお茶を飲みながらゆっくりした時間を感じて 口元が思わずほころんでしまうくらいおいしいご飯を食べて そんな憧れがなんだか唐突に強くなってしまった。 馬鹿だな、と思う。 原因はエースのジャケ…

ためらいの溜息

 紅茶を淹れようかな、と思って立ち上がった拍子に溜息が出てしまった。 大丈夫、誰もいない。 賑やかなお花見が終わった後、ルフィはナミを送っていったし、ゾロとサンジ君もわたしを送り届けてくれてすぐに帰った。サンジ君が豪華なお花見弁当を 作って…

影追いの夕暮れ

 夏という季節を全身で受け止めたくなった。 たまたまレポート作成に追われる日々が続いていたから、夏の空気を感じるのが朝、洗濯物を干す時と、午後のそれを取り込む時だけになっていた。こんなのは何か、変。思った私の心の中を、風が通り抜けた気がした…

星の瞬き

 そのカーテンはものすごくたっぷりと布を使っていた。これまで窓に下げていたものはエースが破れたシーツの端切れや何かをザクザクと縫い合わせたものだったから、四角くてちょうど窓ぴったりのサイズだった。そのカーテンを破いてしまったのはルフィとサク…

あの夏の追憶

 この街の空は遠い。春も夏も秋も冬も。それでも違いを感じる時はあって、今、何となく先週までとは違う気がしてベランダから空を見上げていた。季節が変わったと感じたのはわたしだけじゃなくて、ルフィも今朝は牛乳を温めてから飲んで学校へと飛び出して行…

雪上の足跡

 眩しくて今この目で見ることはできないけれど、太陽はあそこにある。 白く夏空に浮かぶ薄い雲のすぐ向こう。 この熱い空気の原因になっているのがあの太陽だけれど、わたしは少しホッとしている。夏は妙に涼しいよりもやはり暑いほうがいい。暑い暑いと言…