寝汗が気になって次に目を覚ますと、身体が軽くなった気がした。 熱は下がったみたいだ。 見ると、エースはベッドに両足を乗せて椅子に深く沈みこんだまま、まだぐっすりと眠っていた。 シャワーを浴びてしまおう。 着替えのパジャマと下着を出してそっ…

いたずら

 村があるのは暖かな気候の地域だったから、滅多に雪が降ることはなかった。 だから、子供たちは憧れた。 真っ白な雪の中で大きな雪ダルマを作ってみたい。何日も降り注ぐ日差しに勝って立ちつづけるくらい大きな。「さむいのにな~」 窓ガラスにはりつく…

小さな足跡

 朝の光がやわらかく変化し始めた頃。 泣いたことがバレないように念入りに洗顔した。唇の腫れは大分ひいていて、さすが口の怪我だとホッとした。 なんだかぼんやりとした気分で部屋を出て、居間に入るとキッチンコーナーの方向にコーヒーと卵が混ざった熱…

三時のお茶会

 ティーポットに紅茶の葉をサラサラと流し込む。 銀色の小さなサーバーの上を流れる感覚が好きだから、ついつい量が多めになってしまう。 熱いお湯を注ぐと一気に香りが立ち上り、それが逃げてしまわないようにいそいで蓋をする。 三時のお茶。 いつから…